前年の調査よりも下げ幅が低くなったということが話題になっているだけで、下がり続けていることには変わりありません。
もちろん下落幅が拡大した県もあります。
目立ったところでは、住宅地の場合、大分が五・二%(前年二・七%)、秋田が五・三%(前年三・七%)、山形が四・八%(前年三・八%)、香川が六・二%(前年五・二%)などです。
商業地では秋田が一〇・七%(前年九・〇%)、青森が一〇・二%(八・九%)などが目立って下落したところです。
地価上昇ムードに楽観的になってはいけない地価の「二極分化≒個別化」がさらに進行これは平成12年頃から表面化しはじめた「二極分化」「個別化」がさらに進行ということでしょうか。
たとえば二極分化は東京都内だけ見てもはっきりしています。
都心で地価が目立って上昇したのは、銀座、表参道、青山、丸の内、六本木などで、そうした場所に限らなくても都心の千代田、中央、港、文京、台東、渋谷区では調査全地点で上昇または横ばいとなりました。
一方、多摩地区では、武蔵野市が平均で〇・一%上昇し、八八年以来一七年ぶりに上昇に転じましたが、都心から遠い地域の下げ幅は依然大きく、昭島市と福生市がともに六・九%下落、青梅市は六・六%下落、日野市六・三%下落でした。
こうして見てもやはり、「二極分化」「個別化」という傾向は読み取れます。
たしかにそうなのですが、でも、ここで考えなければならないのは、都内の一部地域、たとえば銀座、表参道、青山、丸の内、六本木などで地価が上がったのはどうしてかということです。
需給バランスの改善による値上がり現在の都心の地価の値上がりについて分析すると、二つのパターンがあると思います。
一つは「需給バランスの改善による値上がり」、そしてもう一つは「都市基盤整備による値上がり」です。
需給バランスというのは、土地の供給量に対して需要が高まったから値上がりするという「市場経済の根本的な原理」と言えるでしょう。
不動産の価格というのは、基本的には需要と供給で決まるものです。
地価上昇ムードに楽観的になってはいけない地価が一定水準を下回ると、土地の需要者側は投資をする「元本」である不動産価格、「利回り」である商業施設などからの収益ともに採算に合って、土地以外の物件にくらべて購入価格が有利と判断すれば、「買い」意欲が生まれてきます。
つまり採算が合うから買うということです。
一方、土地の所有者である供給者側は、これ以上値下がりすれば売らずにおこうと判断するわけです。
単純に損をすることになり、それでマーケットに出ている物件の数が減ることになる。
このような需給の変化で、買い物件需要が供給を上回ると価格が下げ止まり、自然に地価が上がっていくのです。
海外有力ブランドの出店ラッシュの影響これに当たるのが、青山、表参道、銀座などです。
この地域は、海外の有力ブランドショップの進出が目立つ地域ですね。
特に銀座の中央通りには、海外ブランドの出店ラッシュが続いています。
たとえばシャネルにカルティエ、ティファニー……。
シャネルはあの土地をダイエーから171億円で買収しました。
ティファニーはテナントで入っていたビルを土地ごと285億円で買収しています。
昨年は中央区銀座二丁目の明治屋銀座ビルの上昇率が顕著だったという話を聞きました。
一平方メートル当たり一三〇〇万円で八・三%増。
やはり外資系ブランド店などの進出ラッシュの影響を受けたのでしょう。
銀座の一等地の取引価格は底値の二倍にまで戻り、坪七〇〇〇万円、中にはバブル時と同じレベルの、坪一億円で買われた物件もあります。
海外ブランドの経営者にとっては、銀座や表参道の地価は、土地を買って店舗を建てて自社の商品を販売しても、十分に採算に合う価格まで下がっていたのです。
彼らは、パリとかロンドンとか、ニューヨーク、香港などの、ここ数年の地価上昇と比較して見ていますから。
外国の主要都市の状況と比較すると、東京都内の商業地の価格については、長期にわたって上昇していないと判断されたようです。
なるほど、海外の有力ブランドは、市場のおよそ七割を日本に依存しているともいわれていますからね。
銀座、表参道、青山といった地域は、「国際的な地価の比較感」と、その地域の「消費需要の伸び」のバランスから、地価が上昇したと考えてよいでしょう。
銀座の表通り、表参道、青山通りでは、大型店舗を建設すれば十分に採算が合うのです。
ただし彼らが談合して進出を決めたわけではない。
彼らが一緒になって「銀座に店を出そう」「表参道に店を出そう」としたわけではなく、それぞれの判断で、別々に銀座や青山に土地を求めたのです。
その結果、需要が供給を上回り、地価が上昇したのです。
バブル期のような現象も出てきたただ、彼らは出店自体をステータスと考えるあまり、収益還元法による適正価格を突き抜けた高値で物件を取得するケースもあるようです。
銀座では中央通りを中心にブランド店が収益還元法による利回りも超越した高値で進出し、地価を吊り上げました。
近頃は、地方で成功した人が銀座に出たいと物色したり、上場益を稼いだ新興企業のオーナーが成功の象徴として買うケースも増えています。
「銀座だから」という需要が多いのは事実ですね。
それから、表参道はちょっとしたバブルといってもいいですよ。
公益法人の本部ビルまでがファッションビルに変身していますし、開発業者も巻き込んだ土地の取得合戦が過熱する一方です。
海外ブランドの直営店が並ぶ表参道の中心に、ガラス張りの八階建てファッションビルが完成しました。
三階までブランドショップが入っているから気づきませんでしたけど、あれは日本看護協会のビルなんですよ。
なんだかバブル期を思い出す現象です。
そういえば最近、表参道近くの「裏原宿」では地上げ屋が復活したという話も聞きました。
不審な男がふらりと不動産屋を訪れて、300坪以上の土地をまとめて開発業者に売却したい。
相続税に困っている家を紹介して欲しいと言ったそうです。
15年以上前によく聞いたフレーズです。
「裏原宿」のあたりでは、路線価の約三倍の値がついた土地もありますし、三〇坪弱の土地が一億三〇〇〇万円で落札されたケースもあります。
やはりバブルですね。
大阪の御堂筋でも同じような変化が起きている銀座や表参道のように地方にも、需給バランスの改善によって地価の上がったポイントがありますか?大阪の心斎橋周辺がそうです。
心斎橋といえば大阪随一の南の繁華街であり老舗も多いです。
正確にいうと、地価が上がっているのは、心斎橋筋より一本西にある御堂筋です。
この地域も銀座や表参道と同じで外国ブランド街になっていて、需給バランスの改善によって地価が上がりました。
御堂筋と長堀通が交わる新橋交差点を中心とする界隈ですね。
九六年にシャネルがオープンしたのを皮きりに、ゼニア、ヴェルサーチ、ダンヒル、ルイーヴィトン、マックスマーラなどがオープンしています。
御堂筋は大阪再生のシンボルともいえる場所です。
御堂筋を「魅力と風格溢れる国際ストリートに仕立て上げていく」という構想もあります。
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